建築士と設計士の違い!年収は?将来性は?環境に縛られない生き方!!

初めに、建築物の設計に従事する人のことを、「設計士」や「建築士」と呼びます。

一般の人にとって、設計士と建築士はどちらも同じ職業を指す言葉のように受け取られることが多いですが、この二つには現実に明確な違いがあるのです。


一般の人ならこの二つの違いを区別しなくてもそれほど大きな問題ではありません。

しかし、設計事務所とかかわるなら必ず知っておくべきことですので、しっかり違いを理解しておきましょう。



△設計とは!?

どんな仕事をする人のことを設計士と呼ぶのか


一級建築士二級建築士というように建築士は国家資格ですが、設計士は資格ではありません。

建築業界では、建築士の資格を持たない人で、設計やその補助を行う人のことを設計士と呼びます。

ただ、それは建築業界でのことであり、単に「設計士」という言葉に明確な定義はありません。

自動車や飛行機、その他の機械を設計する人のことも、同様に「設計士」と呼んでも差し支えないわけです。

設計士と言っただけで建築の設計を行う人を指すわけではないのです。

建築士になるには国家試験に合格する必要がありますが、設計士はただの呼び名であり資格ではないため、設計士になるために何かをする必要はありません。


建築メーカーや設計事務所に入って設計部門に携わることができれば、それだけで設計士と自称できます。


設計士とは建築士の資格を持っていない設計業務に携わる人のことです。

そのため、行える業務には限りがあります。

建築の設計や管理は建築士の資格がないとできないため、設計士の仕事は基本的に建築士のサポートです。

また、建築士の資格を持っていなくても、100㎡未満の木造住宅に限り設計ができると建築士法によって定められています。


つまり、小さな木造建築であれば設計士が設計をできるということです。

このように、できることが限られていますし、そもそも明確な定義のないのが設計士ですので、あえて「設計士」という職業を目指すというようなケースは考えにくいでしょう。

設計士と呼ぶケースとして考えられるのは、資格不問で就職できる建築会社や設計事務所工務店などで、建築士の資格取得を目指しキャリアを積んでいる人のことを指す時ではないでしょうか。


設計士よりも広範な仕事にかかわる建築士

ここまで見てきたように資格がなければ明確な定義もない設計士と異なり、建築士とは国家が定める資格のことです。

一級建築士二級建築士、さらに木造建築士とその種類は三つあり、その資格の種類ごとに設計や工事監理に携わることのできる建築物が異なっています。


建築に関連する法律には「建築士法」があり、それによって設計、工事監理、指導監督、鑑定評価、行政手続き代行などの業務を行える者を建築士として規定しているのです。

これらの業務を行うには建築士の資格が必須であり、資格のないいわゆる設計士がやると法律に違反することになってしまいます。

建築士の具体的な仕事には、設計図の作成、設計に関する諸々の確認、現場スタッフへの指示などがあります。

規模の大きな建築物の場合は、複数の建築士が分業して携わることも多いです。

また、設計を実際にしない場合でも、建築士としての知識を活かして建築現場において工事を監督するという働き方も存在します。

現場監督を経験して、監理技術者や主任技術者になるという人も少なくありません。

このように建築士とは国家資格であり、法律によって可能な業務がしっかり規定されているわけですので、建築士のなかには設計士と呼ばれることを嫌う人もいます。


設計士は資格がなくても自称できますが、建築士を名乗るには難関な国家試験に合格しなければなりません。

一級建築士の合格率は10%前後の狭き門ですので、建築士という肩書きにプライドを持っている人は多いでしょう。

建築士に対してうっかり設計士と呼ばないように気を付けたいものです。


建築家は設計士や建築士と違うのか

なお、設計士や建築士とは別に、建築に携わる人のなかで「建築家」を名乗る、もしくはそう呼ばれる人たちも存在します。

ただし、「建築家」という国家資格は存在しません。設計士と同じように自称することで誰でも建築家になれます。

あえて「建築家」という時は、一般的な設計よりも意匠が重視される仕事に携わっている人のことを指すことが多いです。

その人ならではの個性的なデザインがあり、それによって高い知名度を持っている人のことをメディアなどが建築家と紹介することがあります。


一般的な設計士や建築士よりも、建築家と呼ぶ時には芸術性が秀でいていることを表すことが多いです。

そのため、名のある建築家の建てたものは、単に建築物ではなく「作品」と呼ばれることも少なくありません。

なお、「建築家」という国家資格は存在しないと述べましたが、社団法人日本建築家協会の認定する民間資格が存在します。

この資格を取得するには、一級建築士の資格を持ち一定期間の実務経験があることが条件となるのが原則です。

ですが、必ずしも建築士の資格を持っていなければ取得できないというわけではありません。

ただし、建築家として認められるだけの実績があることが条件ですので、そう簡単に取得できる資格でないことは確かです。

国家資格ではなく民間資格の一種だということは覚えておいた方がよいでしょう。


△設計士と建築士の年収の違い

資格がなくても誰もが名乗れる設計士と違い、やはり国家資格の建築士の方が年収は高くなる傾向にあります。

ただし、建築士にも種類があり、一級建築士二級建築士、また木造建築士によって、必要とされる知識も試験の難易度も異なります。

同じ建築士でも年収には大きな違いが生まれます。

試験の難易度が最も高い一級建築士が年収も高くなる傾向があり、平成29年度の厚生労働省の調べによると年収の平均は約640万円です。

二級建築士木造建築士の平均年収はこれを下回ります。

ただ、個人の経験や実績による差も大きく、一級建築士の資格を取得して間もない若手では年収500万円以下のこともあります。

逆に、一級建築士として豊富なキャリアがあり、大手の建築事務所に勤務している人であれば、1,000万円近い年収を得ていることもあるかもしれません。

ちなみに、二級建築士の場合、資格を取得して間もないキャリアの浅い人では、300万円台の年収ということもよくあります。

建築士の資格を持たない設計士の場合、年収はこれよりも下がる傾向があります。

業務可能な範囲が建築士よりも狭くなるので当然といえば当然です。

ただし、やはり設計士の場合も、実務経験や勤務する職場によって年収には大きな違いが存在します。

人によっては、建築士よりも高額な年収を得ていることもあるでしょう。

資格がなくても勤務先やその人の実力に次第では、それなりの年収を得ることは可能です。

まとめ

設計士と建築士には明確な違いがあることがわかりました。

設計士は建築メーカーや設計事務所に入って設計関連の仕事に携わることができれば誰もが名乗ることができますが、建築士は国家資格に合格しなければ名乗ることができない名称です。


携わる仕事の範囲を制限されている設計士に対して、建築士の業務は広範に及ぶため、建築士の方が年収も高くなる傾向にあると言えるでしょう。

建築士の資格を持っている人に対しては、敬意を払うという意味でも、設計士ではなくちゃんと「建築士」と呼びたいものです。


今後、ご自身のアイデアを生かしたいという方は、設計士が向いているかもしれませんが、人生プランを合わせてお考えの方は、設計士に留まらす、建築士や現場での経験を通じて、建築士にシフトした資格取得を目指したり、設計士は建築関係だけに留まらす、新たなキャリアを築く礎にもなりますので、今後を見据えた行動が必要になってくるでしょう。